1-3.税金はこういうコトで安くなる

計算されていない控除額

源泉所得税の税額見積もりや年末調整時の税額計算では、「所得控除」(以下、単に「控除」と記します)または「税額控除」で計算に入れてないものがある可能性があります。1-2の表に示した「税金が減る=還付金がある」というのは、ようするに、次のような場合があるということです。

 

・給与所得者だが、年末調整で計算されていなかった控除や税額控除がある

・給与所得者だが、年末調整で計算に入れることができない控除や税額控除がある

・自由業、自営業などで、あらかじめ支払った源泉所得税があるにも関わらず、計算されていない控除や税額控除がある

 

「(所得)控除」とは、所得に税率を掛ける前の段階で、所得から差し引ける額のことです。「税額控除」とは、所得に税率を掛けて税額を計算した後に、直接税額から差し引ける額のことです。

以下、ライフイベントなどを切り口に、控除および税額控除の種類を見ていきます。

 

基礎控除

これまでは、所得から誰でも38万円を控除していましたが、令和2年分から改正されました。控除額を一律10万円引き上げるとともに、合計所得金額の区分に応じて、次の表のとおりになりました(サラリーマンの方の場合、この制度はすでに年末調整時点で控除されています)。

 

合計所得金額

基礎控除額

改正前

改正後

2,400万円以下

48万円

2,400万円超

2,450万円以下

38万円

32万円

2,450万円超

2,500万円以下

(所得制限なし)

16万円

2,500万円超

0円

 

よって確定申告書の基礎控除欄に数字の記載はされなくなり、申告する人が合計所得金額によって記載することになります。

 

☛Point
誰でも受けられる控除から、合計所得金額が2,500万円超では「ゼロ」に

 

「不慮の災難にあった(泥棒・火災・自然災害)」

災害・盗難・横領などによって、財産に損害を受けた場合には、一定金額の所得を控除できます。これを「雑損控除」と言います。

 

対象となる損害

損害を受けた財産が次のいずれにも当てはまること。

 

(1)財産の所有者が納税者本人・家族・配偶者のいずれかであること。

※ただし配偶者や家族が所有者の場合、納税者本人と生計を一に(簡単に言うと「サイフが一緒」ということです)しており、しかもその年の総所得金額等の合計が48万円以下(総所得金額等は収入額とは違います。給料・パートだけでの収入の場合、年間103万円以下なら控除OKということになります)である必要があります。

 

(2)生活に通常必要な住宅、家具、衣類などの資産であること。

※別荘や事業用の資産、それに書画、骨とう。貴金属で、1セットの価額が30万円を超えるものなどは当てはまりません。

 

(3)損害の原因が以下のいずれかであること

・震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変によった災害

・火災、盗難など人為による異常な災害

・害虫などの生物による異常な災害

・盗難又は横領

 
☛Point
損害の原因に「詐欺」はふくまれないこと

 

→申告書の記入については、〔3-11.雑損控除の記入〕を参照