起業時のおカネ(資金)のポイント

2015年07月22日

『日本政策金融公庫の調査月報 2015年7月号の調査リポート「開業費用の調達と事業計画書の作成状況の実態」-「起業と起業意識に関する調査」(2014年度)より-(※1)』によると、起業家の約8割が自己資金だけで開業しているとしつつ、一方で、適正な起業資金を不足なく調達し、創業計画書を作成することが、開業後の業績にプラスの影響を及ぼしている、としています。
 
そこで今回は、事業の血液ともいえる「お金=資金」について、起業時ならではの考え方の順序やポイントを挙げてみました。
 

1.「毎年いくらおカネが残るのか?」を計算してみよう!

 
起業時の必要資金について、設備投資額+運転資金を積み上げて、「いくらおカネがかかるのか?」を始めに考えるやり方もありますが、私のお勧めはまず堅実に「毎年いくらおカネが残るのか?」を計算してみることです。
これから始める事業の売上予測を行い、続いて、掛かる原価や人件費やその他固定費などを差し引いて「毎年いくらおカネが残るのか?」を計算してみましょう。
 
ここでは細かい各論は省きますが、売上も費用も根拠となる人数、単価、同業他社や近隣相場などをできるだけ細かく分析予測して、他人が見ても「なるほど、うんうん」と納得してもらえるように肉づけをしていきましょう。
 
最近では、業種ごと、規模ごとの売上・原価・経費の根拠資料をネット上から入手することができますので、そういった情報を活用するのも1つです。

 

2.「全部でいくらおカネがかかるのか?」を計算してみよう!

 続いて考えるのは「この事業を始めるのに全部でいくらおカネがかかるのか?」です。
このおカネは「設備資金」と「運転資金」との合計金額で考えます。
 
「設備資金」とは・・・ 価値のある資産や、一度に費用にならず毎年少しずつ費用にしていくものに充てる資金となります。例えば、土地の購入費や賃貸テナントの敷金や保証金、建物や機械、車両の購入費がこれに該当します。
 
「運転資金」とは・・・ 最初に売上が入金されるまでに支払わなくてはいけない仕入代金、人件費、その他経費と考えるといいでしょう。

 
さて、上記1.→ 2.と考えてきて、続いて、3.へと行きたいところですが、ここでもう一度、上記1.→ 2.を繰り返して、ガリガリ計算しなおしてみましょう。
これがいわゆる「創業計画書」の基礎となります。
1度きりの計算をしてみて「うんうん、予定通り」という方は少ないはずです。
思ったよりも「毎年残るおカネが少ないなぁ・・」「けっこう総額が大きくなるなぁ・・」と感じる方が多いのではないでしょうか。ですが、そのように思った人の方が、より堅実に計画を起てていけると思います。
「なんとしてでも起業して成功してやろう!」と熱い気持ちをバネに、是非、この1.→ 2.の作業を共同経営者や創業支援機関、金融機関を巻き込んで一生懸命考えてみてください。
 
 
※1
(日本政策金融公庫 調査月報2015.7)http://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/tyousa_gttupou_1507.pdf

舟越会計事務所 税理士 舟越かおり 執筆者紹介

舟越会計事務所 税理士 舟越かおり

2001年に税理士登録。女性専門家チーム「なでしこ総合オフィス」や医業特化サービス「クリニック経営サポートセンター」を立上げ、わかりやすい会計・税務を提供している。
舟越会計事務所  http://www.funakoshi-zeirishi.com/
なでしこ総合オフィス  http://www.nade-pro.com/
クリニック経営サポートセンターhttp://www.clinic-zeirishi.com/

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