正しい「経費削減」のススメ

2015年08月24日

皆さんこんにちは。今回は「経費削減」をテーマにしたいと思います。
 
まずは、そもそも論ですが、経費削減って何の為にするのでしょう? 何故するのでしょう?
景気も悪く経済的に厳しい時期が長かった為、いつしか経費は削減するものだ・・・といった感覚的なものになってしまっているケースもあるでしょう。ですが元を正せば「◯◯が狙いだった」というものが幾つか存在しています。良い理由も、悪い理由も含めてです。
 

「経費削減」をするワケ

①資金繰りのため
支払い等の資金繰りの為、今月は◯をやるのをやめよう。△の実施を来月にのばそう・・・。
これらは景気変動などの外部与件の影響を受けやすい業種に多いパターンです。また比較的、事業規模の小さい企業の方が多いとも言えるでしょう。
 
②決算時の利益確保のため
このままでは減益になってしまう。何とかして昨年並の利益を確保しなければ・・・。
先日、大手某社で問題が発覚したパターンの根本にある現象です。
 
③新たな投資をしたいから
設備やITなど大型の新規投資をしたいが為に、その他の費用を削減する事で捻出したいというケースです。
 
④マネジメントして日々の取組の中でムダをなくしたい
製造業での5Sなど、日々の活動の中に浸透しているケースです。
 
その他にもいくつかパターンはあるでしょうが、このあたりがメインどころという事で話をすすめていきたいと思います。
 

「経費削減」の効果

次は、それぞれの経費削減の効果と影響についてです。はっきりとさせる為にちょっと大げさに表現をしてみます。
 
①資金繰りへの効果
なりふり構わず(もちろん優先順位はつけるが)、費用のかかる活動を止めたので、支払いを発生させなかった。おかげで今月の支払いも無事終了、従業員の賃金も払えたし・・・。ほっとひといき。
→そういう時も勿論あるでしょうが活動をやめた分は、質の低下等の影響を招き、先に悪影響を及ぼします。もとに戻す動きを加えていく必要があります。
 
②決算時の利益確保の効果
たとえば決算期が近づいて、「自社の長期滞留在庫を安値でもいいから処分する」というのは、資産価値の適正化であるので正しい行為です(粗利も低くでるので利益への波及効果は少ないですが)。
一方、「仕入れを1時的に止めて売上原価を減らす」や、「売価還元法を使って先行して店舗へ仕入れをたて粗利率を上げる」などの行為は適正な状態とはいえません。利益額をコントロールしたいが為に発生する行為ですが、顧客の都合を無視する行為は、ファンを失う事につながり、結果的にあとからツケを払う事になるケースが散見されます。
 
③新たな投資の効果
投資の結果に改善される事と、一時我慢する事がリンクしていれば良い結果が待っている可能性が高まります。そうでない場合、後から我慢した分野へのケアをする必要となります。
 
④マネジメントして日々の取組の中でムダをなくす効果
マネジメント体制を強化し、事業の体質強化を図る事で生産性の向上につながります。そこから得た利益の一部を再投資に回し、さらに強い体質つくりにまわすなど良いスパイラル構築へ向けていく事ができます。
 
という事で、①②は一時の限定的な発想ですので、その後の影響に対し対処をしなければマイナス効果を産みます。③や、特に④は恒常的な効果を含んでいますのでプラスに作用します。
 
「経費削減」の取組をされた企業は多いと思いますが、皆さんはどのような取組をされたでしょうか? 私自身も自ら体験したり、コンサルティング先で見てきたりました。
実際①の話はそうなったらやるしかないという時もあるでしょうし(そうならないように努力したいですが)、②は株式を公開している会社で多いのではないでしょうか。
 
皆さんには③④のような取組をして頂ければと思っておりますので、次回は具体的な事例を踏まえてお話をしていきたいと思います。

 中小企業診断士 專田政樹 執筆者紹介

 中小企業診断士 專田政樹

セブン&アイ グループにて蓄積した知見を活かし、マーケティング・店舗運営管理分野で企業支援を実施。またシンクタンクでの実務経験を活かした管理部門(経営企画、財務経理、組織人事等)のワンストップ支援を行い、質を維持したコスト削減等の経営体質強化が得意。
 
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