派遣労働者を雇う事業主必見! 労働者派遣法はどう変わる?

2015年10月08日

これまでにも改正案が国会へ提出されては廃案になっていた労働者派遣法の改正ですが、今年の通常国会(第189回)で無事に成立しました。
改正法の施行日は、国会での審議の遅れ等により、当初予定されていた平成27年9月1日ではなく、平成27年9月30日となりました。
 
以下、改正法の概要をご説明したいと思います。
 

1.労働者派遣事業が許可制に一本化

改正法の施行日である平成27年9月30日以降、一般労働者派遣事業(許可制)と特定労働者派遣事業(届出制)の区別が廃止されて、全ての労働者派遣事業が許可制となります。
尚、すでに特定労働者派遣事業を行っている場合には引き続き3年間は「その事業の派遣労働者が常時雇用される労働者のみである事業」を行うことが可能である等の経過措置が設けられています。
また、小規模事業主については、新たな許可申請にあたって一定の配慮措置が設けられることになっていますが具体的な内容は現時点では未定です。
 

2.期間制限のルールの見直し

現在の期間制限(いわゆる26業務以外の業務に対する労働者派遣についての派遣期間の上限を原則1年とするもの)では26業務に該当するかどうか等、分かりにくいことなどから見直され、施行日以降に締結、更新される労働者派遣契約では以下の2種類の制限が設けられます。
 
①派遣先事業所単位の期間制限
同一の派遣先の事業所における派遣労働者の受け入れは3年が上限となります。
3年を超えて受け入れようとする場合には、派遣先の事業所の過半数労働組合等からの意見を聞く必要があります。
 
②派遣労働者個人単位の期間制限
派遣先の同一組織単位(いわゆる「課」)における同一の派遣労働者の受け入れは3年が上限となります。
 

3.雇用安定措置の実施

派遣元事業主には派遣労働者の雇用が安定化するように、以下の雇用安定措置(雇用を継続させるための措置)が義務づけられました。
尚、①を講じた場合に直接雇用に至らなかった場合には、別途②~④の措置を取る必要があります。
 
 ①派遣先への直接雇用の依頼
 ②新たな派遣先の提供
 ③派遣元での(派遣労働者以外としての)無期雇用
 ④その他安定した雇用の継続を図るための措置

横地冬美事務所 特定社会保険労務士・行政書士 横地冬美 執筆者紹介

横地冬美事務所 特定社会保険労務士・行政書士 横地冬美

2003年社会保険労務士、2004年行政書士登録。人事労務のエキスパートとして「正確・迅速・分かりやすく」をモットーに日々業務を行っています。
横地冬美事務所 http://yokochi-office.net

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