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1-4. 平成30年の改正ポイント

平成29年分(平成30年申告)で注目されているのは、医療費控除についていくつかの改正があったことでしょう。また、給与所得が1000万円を超える人の給与所得控除額が減額されました。それ以外には際立って大きな所得税改正はないので、改正の影響が及ぶ人は割合少ないかと思われます。ただ、平成30年分以降に予定されている大改正とつながりのある項目があります。以下、個人の確定申告と関連する主な項目を、税制そのものではなく運用に関するものや平成29年分前後の重要な改正を含めて解説します。
 

給与所得控除の上限額引き下げ(増税)

給与所得控除について、給与収入1,000万円(給与所得ベースでは1200万円)を超える場合の給与所得控除額が220万円に引き下げられました。個人住民税についても、1年遅れで給与所得控除額が引き下げられます。
給与所得控除の上限額引き下げは前年度(平成28年分)に続きます。また、平成32年分以降は基礎控除額の引き上げと連動して改正が行われる方針です。
 
 

医療費控除とセルフメディケーション税制(減税)

医療費が10万円以下でも、特定の医薬品を購入した総額が1万2000円以上となる場合、医療費控除を受けられる特例が設けられました。「セルフメディケーション税制」と呼ばれています。
 
医療費控除とセルフメディケーション税制
 
従来は、病院などで診療を受けた場合で、かつその医療費の総額が年間10万円(総所得金額が200万円未満の場合は総所得金額の5%)を越えないと医療費控除を受けることができませんでした。例えば年間30万円の医療費支出があったら、20万円(=30万円-10万円)の医療費控除を受けることができます。しかし平成29年分からは、「スイッチOTC医薬品」として指定された薬品を薬局などから購入した場合、その総額が年間1万2000円を超えれば、その超えた部分の金額について所得控除を受けられるようになりました。例えば年間10万円のスイッチOTC医薬品を購入したら、8万8000円(=10万円-1万2000円)の医療費控除を受けることができます。ただし「健康の維持増進および疾病の予防として一定の取り組みを行った」者という条件があります。
 
言葉を見ると回りくどいですが、ことは割合単純です。
 
「スイッチOTC医薬品」とは:
もともと病院で用いる医薬品だったものから市販品に転用された成分を含む医薬品のことです。例えば風邪薬、胃腸薬、鎮痛ハップ、目薬など。「医薬品から転用されて効果がある」といったような広告を目にすることがあると思いますが、そうした薬品のことです。具体的な商品名は厚生労働省のWebページに掲載されています。また、それらの薬品にはセルフメディケーション税制の対象品であることがマークで記載されています。それらの薬品を買ったら、レシートや領収書を捨てないで取っておく習慣をつけておくのが良いでしょう。
 
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html
 
「健康の維持増進および疾病の予防として一定の取り組みを行った」とは:
要するに、会社や自治体で実施されるような健康診断を受けているかどうかです。具体的には、次のものが挙げられています。
・特定健康診断(自治体などが実施する、いわゆる「メタボ検診」のこと)
・予防接種
・定期健康診断(会社などで半年または1年程度ごとに定期的に行われる検診のこと)
・健康診断(自ら医者に行って診断を受けるような場合)
・がん検診
 
注意しなければならないのは、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制による医療費控除は、どちらか一方しか適用できないことです。そして、通常の医療費控除の限度額は200万円と高額なのに対し、セルフメディケーション税制の控除限度額は8万8000円とずっと少額なことです。通常の医療費控除が適用できるほど医療費を使っていないのなら、セルフメディケーション税制を適用するのが良いといえます。しかし、高額の医療費を支払っていた場合は、セルフメディケーション税制を適用してしまうとかえって医療費控除の額が減額になってしまうことを意味します。
 
例えば年間100万円の医療費と、年間10万円のスイッチOTC購入を行っていたとしましょう。この場合、次のような計算になります。
・通常の医療費控除で申告した場合:医療費控除額は100万円-10万円=90万円
・セルフメディケーション税制で申告した場合、医療費控除額は医療費控除額は10万円-1万2000円=8万8000円
あきらかにセルフメディケーション税制を選択しないほうが得ということになります。