6-1 決算手続の流れ

決算作業手続

決算手続は次の手順により行います。
①総勘定元帳の各勘定科目を集計します。
総勘定元帳のうち、売掛金・未収入金・買掛金・未払金については、債権債務の確定のため、残高照合依頼書の送付を行い、預金・借入金の残高証明書の発行を金融機関に依頼した方がよいでしょう。
この他の勘定科目については、その内容・残高を再確認して下さい。
②締め切った総勘定元帳より決算整理前残高試算表を作成します。
③決算整理前残高試算表を基礎として、精算表を作成します。
④上記③の精算表に決算整理事項を記入します。
決算整理事項には、次のようなことがあります。

1.棚卸
棚卸とは、期末に棚卸資産の在庫数 を確認し、その棚卸資産を評価することです。
2.売上原価の算定
売上原価の算定は、棚卸により棚卸資産の期末評価をし、当期の収益に貢献した棚卸資産の価額を計算することです。
3.各種引当金の設定
各種引当金の設定により将来の費用を見込計上することです。
4.有価証券の評価
期末において有価証券の評価をし直すことです。
5.固定資産の減価償却
固定資産を費用化し、減価償却費を計上することです。
6.繰延資産の償却
費用の効果が将来に及ぶ繰延資産のうち、当期の費用分を計上することです。
7.消耗品勘定等の処理
消耗品費等の費用のうち、期末に使用していないものを貯蔵品勘定等の資産に振り替えることです。
8.現金過不足の処理
現金過不足勘定を雑損益勘定に振り替えることです。
9.費用・収益の繰延・見越
期間損益計算を行ううえで、当期に発生した収益・費用の繰延・見越をすることです。

⑤上記決算整理事項を考慮して精算表を完成します。
⑥総勘定元帳を基礎として財務諸表を作成します。

文書名 _1-6-1

 

商法上の決算事務手続

商法においては、会社は決算日の翌日から3 ヶ月以内に「株主総会」を開催しなければなりません。通常、3 月決算が多いため、6 月下旬の株主総会開催が多くなっています。
この株主総会までのスケジュールは、次のようになります。

(1)計算書類の作成

株主総会のために、次のような「計算書類」を作成する必要があります。
①貸借対照表
②損益計算書
③営業報告書
④利益処分案(損失処理案)

(2)監査

上記(1)の計算書類は会社内の監査役や監査法人の監査を受けます。監査法人の監査は、すべての会社が受けるのではなく、商法にその適用会社が定められています。
通常この監査は、決算日より2 ヶ月以内に行われ、その結果として監査報告書を受け取ります。

(3)招集通知発送

会社は、株主総会の2 週間前までに株主に対し「決算書」「株主総会議事案」を送付し、株主総会招集通知を行わなければなりません。

(4)株主総会

株主総会を開催し、監査を受けた決算書を報告し利益処分案の承認を受けます。この他にも、株主総会議事案の承認が必要なものについては承認を受けます。

(5)決算申告・納税等

通常、税務署に提出する法人税申告書は、決算の翌日から2 ヶ月以内に提出しなければなりませんが、大企業等は株主総会で利益処分案等の承認を受けなければならないことから、申告書提出の延長承認を受けています。この場合、3 ヶ月以内に提出すればよいことになります。法人税申告書の提出と同時に税金を納付します。また、証券取引法による「有価証券報告書」についても3 ヶ月以内に提出しなければなりません。