なるほど! 確定申告 〜事業所得の誤りやすいポイント〜

〜あなたの確定申告、間違ってませんか?〜

1.損害保険金はすべて非課税として処理している・・・NG

心身や資産に加えられた損害に基因して支払を受ける損害保険金は、基本的には非課税ですが、それが業務に関するものである場合は注意が必要です。
必要経費に算入される金額を補てんするための損害保険金である場合は、そのかかった経費分を超える部分のみが非課税とされます。
つまり、経費は計上して、損害保険金の収入は計上しない、ということはできません。
 
また、棚卸資産について損害を受けたことにより損害保険金や見舞金を受け取った場合や、業務の停止などに伴って収益の補償として取得する補償金などについても、収入として計上する必要があるので注意が必要です。
 

2.事業用車両の売却損を事業所得の必要経費としている・・・NG

事業に使っている車両を売却して売却損や売却益が出た場合、法人の場合はそのまま売却損又は売却益として計上しますが、個人の場合は事業所得の収入金額や必要経費にせず、譲渡所得となります。
 
  譲渡所得の金額=譲渡価額−(取得費+譲渡費用)−50万円
 
所有期間が5年超の長期譲渡所得の場合は、この2分の1が総合課税の対象になります。
譲渡益が出る場合は、法人より優遇されていることになりますね。譲渡損が出た場合は、他の総合課税となる所得と損益通算されます。
 

3.業務用資産の相続登記の際にかかった登録免許税を必要経費からはずしている・・・NG

以前は相続登記の際にかかる登録免許税は必要経費に算入できなかったのですが、平成17年1月以降、必要経費に算入できることとなりました。
 

4.業務用資産の損害保険料は全額必要経費に算入している・・・NG

保険期間が3年以上で、満期返戻金がある損害保険契約の損害保険料は、積立部分と積立以外の部分に分かれています。
積立部分は単なる貯金みたいなもので満期になれば戻ってくる部分ですよね。当然、必要経費にはなりません。
積立部分以外の保険料のみ必要経費に算入してくださいね。
 

5.店舗併用住宅に係る費用をすべて必要経費に算入している・・・NG

家事関連費のうち必要経費となるのは、経費の主たる部分が業務の遂行上必要である部分を明らかに区分できる場合のその部分だけです。青色申告者は、それ以外にも取引の記録に基づいて、業務の遂行上直接必要であったことが明らかにできる部分も必要経費に算入できます。
では、具体的に何パーセントを必要経費とするのかについては、所得税基本通達45-1に「業務の内容、経費の内容、家族及び使用人の構成、店舗併用の家屋その他の資産の利用状況等を総合勘案して判定する」とあります。
その割合に決定した理由について聞かれた場合には、説明できるようにしておきましょう。
 
店舗併用住宅に関連する経費としては、固定資産税、水道光熱費、損害保険料、借入金利子、減価償却費等があります。
全額必要経費にしていないか、いま一度チェックしてみてください。
 

6.3月15日までに申告書を提出しなかったのに65万円の青色申告特別控除を適用している・・・NG

65万円の青色申告特別控除は、貸借対照表、損益計算書、明細書の添付があり、かつ、確定申告書を期限内に提出した場合に限り、適用することができることになっています。
せっかく「円簿青色申告」できちんと記帳しても、期限に間に合わなかったら65万円特別控除が適用できません。申告はお早めに!!
 
 

執筆者紹介岩嵜・杉原合同事務所 税理士 杉原麻友子
岩嵜・杉原合同事務所 税理士 杉原麻友子

平成21年7月開業。
著書「団塊世代サラリーマンのための定年退職マニュアル 厚生年金・雇用保険・健康保険の手続きと確定申告がわかる本」(共著)(税務研究会)
ホームページ http://sugihara-accounting.com/
ブログ(大阪の女性税理士sugiの天満橋日記) http://ameblo.jp/sugihara-accounting/

 
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