売れる仕組みづくり『マーケティング』

2016年01月06日

3.価格を決定する
価格の決め方については以前お話ししました。ちょっと復習しましょう。
販売価格の決め方にはいくつか方法がありましたね。例えば、類似の製品・サービスの価格を参考にし、自社の製品・サービスの特徴を踏まえて値決めするというやり方です。
 
まずは一般的で無難な方法です。しかしそれは自社の製品・サービスがその他の製品・サービスとあまり変わらないものだと自ら宣言していることでもあり、差別化という観点からは好ましい方法とは言えません。
 
ではどうすればよいか、私は次のような方法をお勧めしています。
製品の想定コスト(仕入原価あるいは製造原価+販売費、一般管理費)に希望の利益を載せて売値を決めるという方法です。このような積み上げ方式は古い考え方だと言われます。もちろん独りよがりな値決めは論外です。
しかし、お客様に納得していただける価格なら良いわけですから、提供する製品・サービスに対してお客様が感じる価値に見合った販売価格であれば、多少高くてもそれが適正価格です。なにも他社の製品・サービスにならう必要はありません。
 
また、私のコラム「ビジネスに役立つ行動経済学」の中でもご紹介したように、消費者の購買行動は多分に心理的な影響を受けることも、価格決定においては十分配慮すべきです。
たとえば消費者は3つ価格帯があれば、真ん中の製品を買う傾向があります。そこで、この傾向を踏まえて3つの価格帯を用意し、最
も売りたい製品・サービスをその真ん中に設定するのです。
 
他にもフレーミング効果やアンカリング効果など価格決定に役に立ちそうなものがありますので、バックナンバーをもう一度読み返してみてください。

 
 
 

4.プロモーションを仕掛ける
プロモーション、すなわち販売促進のことです。
皆さんが顧客のニーズをうまくとらえた素晴らしい製品やサービスを創造しても、顧客に知ってもらい、その価値に気が付いてもらわねば、売上を伸ばすことはできないでしょう。
 
販売促進と言えば、マスメディアを使った宣伝広告が代表的なものですが、これから起業しようとする人にとっては現実的な方法ではないですね。
 
従ってもう少し現実的な販売促進手法を考えましょう。つまりビジネスモデルで定義づけたターゲット顧客に効率よく届く方法を採用するのです。
例えば、ダイレクトメールやポスティング、店頭ボード、ブログ、口コミなど、中小零細でも利用できるものは結構あります。

 
 
 

5.販売チャネルを決定する
最後に、皆さんの製品やサービスを顧客にどうやって届けるのがベストなのか考えます。
例えば、最終消費者に届けるために、直販するのか、卸や小売店を通して届けるのか、あるいはウェブ上にバーチャルな店舗を設けて通販するのか、ターゲットとする顧客を念頭に置き、最も受け入れられやすい、喜ばれるチャネルを決定するのです。

 
 
 

マーケティングは小さな会社にとっては経営戦略と同等と言えるほど重要なものです。これから事業を始めようとするからには、避けて通ってはいけません。
現代は、造れば売れる、店頭に並べれば何もしなくても売れるような右肩上がりの経済社会ではなくなっています。是非じっくりと取り組んで起業を成功に導いてください。

 
 

ここまで6回にわたって起業に関連する記事を書いてきました。
起業をめぐる現状、起業へのモチベーションの保ち方、グランドデザイン(ビジネスアイディア)の描き方、事業の意義と目的、経営理念、将来ビジョン、ビジネスモデル、そして今回のマーケティングです。
まだまだお話しするべきことはあるように思いますが、起業に関するシリーズは一旦ここで終了とさせていただきたいと思います。
次回はまた新たなテーマでお話をしたいと思いますので、お楽しみに。

エバーグッド・コンサルティング 代表 中小企業診断士/認定経営革新等支援機関  首藤愼一 執筆者紹介

エバーグッド・コンサルティング 代表 中小企業診断士/認定経営革新等支援機関  首藤愼一

経営改善計画策定支援、経営革新計画策定支援、各種補助金(ものづくり、創業etc)の申請支援など、製造業から小売業まで業種を問わず「中小企業の元気に貢献する」を理念に活動しています。

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