雇用保険法の改正、準備はもう大丈夫?

2016年05月10日

平成28年3月29日の通常国会において、「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が成立しました。
 
今回の改正は、現在の雇用情勢等を踏まえて、失業等給付に係る保険料率を引き下げるとともに、労働者の離職の防止や再就職の促進を図るため、育児休業・介護休業の制度の見直しや雇用保険の就職促進給付の拡充等を行うものです。
 
さらに、高年齢者の雇用を一層推進するため、65歳以降に新たに雇用される者を雇用保険の適用対象とするほか、高年齢者の希望に応じた多様な就業機会の確保を図る等の措置を講じたものです。
以下、施行日順に改正の概要をご説明いたします。
 

<平成28年4月1日より施行のもの>

1.雇用保険料の引き下げ
◆平成28年度の失業等給付の雇用保険料率は、労働者負担・事業主負担とも1/1000ずつ引き下がります。
◆併せて、雇用保険二事業の保険料率(事業主のみ負担)は、0.5/1000引き下がります。

Print
 
2.高年齢者の希望に応じた多様な就業機会の確保
シルバー人材センターにおける業務について、都道府県知事が市町村ごとに指定する業種等においては、派遣・職業紹介に限り、週40時間までの就業を可能とする。
 

<平成28年8月1日より施行のもの>

3.介護休業給付率の引き上げ
介護離職の防止に向け、介護休業給付の給付率の引き上げを行う。
〔賃金の40%→67%〕
 

<平成29年1月1日より施行のもの>

4.介護休業等に係る制度の見直し(介護離職の防止に向け)
◆介護休業の分割取得を3回まで、計93日とする。
◆所定外労働の免除制度の創設。
◆介護休暇の半日単位取得を可能とする。
 
5.育児休業に係る制度の見直し(多様な家族形態・雇用形態に対応するため)
◆育児休業の対象となる子の範囲の拡大(特別養子縁組の監護期間にある子等)。
◆育児休業の申し出ができる有期契約労働者の要件(1歳までの継続雇用要件等)の緩和等。
 
6.高年齢者の雇用保険適用対象を拡大
65歳以降に新たに雇用される者を雇用保険の適用の対象とする。
(ただし、保険料徴収は平成31年度分まで免除)
 
7.妊娠した労働者等の就業環境の整備
妊娠、出産、育児休業・介護休業等の取得等を理由とする上司・同僚等による就業環境を害する行為を防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置を義務づける。
 
8.雇用保険の就職促進給付の拡充
◆失業等給付の受給者が早期に再就職した場合に支給される再就職手当の給付率を引き上げる。
・支給日数を1/3以上を残した場合は、残日数の50%→60%支給
・支給日数を2/3以上を残した場合は、残日数の60%→70%支給
◆「求職活動支援費」として、求職活動に伴う費用について新たに給付の対象とする。
(例:就職面接のための子の一時預かり費用)
 
 
以上、改正雇用保険法等を見てまいりました。
この中でも、特に雇用保険料率の引き下げにつきましては4月からの適用となり、どの企業に置かれましても変更の必要がありますのでご注意いただきたいと思います。
 
また、妊娠・出産・育児休業、介護休業、高齢者雇用などの改正は、企業の優秀な人材確保におかれましても課題となるところかと思います。
改正へのご理解をいただいて、働きやすい環境づくり=魅力ある会社づくりに役立てていいただけたらと思います。

横地冬美事務所 特定社会保険労務士・行政書士 横地冬美 執筆者紹介

横地冬美事務所 特定社会保険労務士・行政書士 横地冬美

2003年社会保険労務士、2004年行政書士登録。人事労務のエキスパートとして「正確・迅速・分かりやすく」をモットーに日々業務を行っています。
横地冬美事務所 http://yokochi-office.net

横地冬美先生のコラム一覧へ≫