4-2 仕入帳と仕入先元帳

通常の商品を掛仕入した場合には、仕入先から納品書を渡されます。そして、その納品書に基づいて「振替伝票」を作成し、「仕入帳」「仕入先元帳」に転記することになります。これらの帳簿により、仕入活動によって発生した仕入及び買掛金を管理することになります。

 

仕入帳

物販業の会社では、多品種の商品の取扱とその仕入回数が頻繁に行われています。このような場合、主要簿の総勘定元帳だけでは、仕入の合計額は分かりますが、品名・数量・単価の明細を把握することは不可能です。このため、 に仕入だけを管理する仕入帳という補助簿を作成することになります。

(1)事務の流れ

①単独取引または取引回数が少ない場合
商品が納品されたら仕入計上する仕訳を起こし、取引を記録します。この仕訳は、通常「振替伝票」に記録することになります。そして、その振替伝票に基づいて「総勘定元帳」「仕入帳」や、 2 で説明する「仕入先元帳」に転記することになります。
②取引回数が多い場合
商品等の仕入回数が多い場合には、その取引ごとに「振替伝票」を起こすと大変手間がかかってしまいます。そのため、補助簿である「仕入帳」「仕入先元帳」に納品書から転記し、1 ヶ月ごとにそれぞれの元帳を締め切り、その合計額により「振替伝票」を起こし、総勘定元帳に転記することになります。

(2)日計表及び週計表

仕入回数が多い会社等では、1 日ごとに仕入を集計する「日計表」や1 週間ごとに集計する「週計表」を作成し、仕入を管理し、販売活動に役立てています。

(3)仕入帳の記入方法

仕入帳は、納品書に記載されている次のような内容を記入します。
商品等を仕入れた日付
商品等を仕入れた仕入先名等
仕入れた商品の品名
仕入れた商品の数量
仕入れた商品等の金額(返品・値引等はカッコ書きをします)
仕入金額の残高(1 ヶ月の累計仕入金額)
これらの内容により1 ヶ月ごとに仕入帳を締め切り、「総仕入」「仕入戻り高」「純仕入」を計算し、それぞれの金額を記入します。
総仕入とは、その1 ヶ月の仕入帳の借方合計額です。純仕入とは、総仕入から仕入の返品・値引を控除した純粋な仕入金額です。

 

仕入先元帳

商品の掛仕入先が多数ある会社は、総勘定元帳の買掛金勘定では仕入先ごとの残高を把握するのは大変手間のかかる作業となります。買掛金管理のうえからも仕入先ごとに買掛金を記入する補助簿である「仕入先元帳」を作成することをおすすめします。

(1)仕入先元帳の記入方法

仕入先元帳に記入する内容は、仕入帳とほぼ同じですが、仕入先ごとに頁を設けることになります。そして、前月残高がある場合には、前月繰越がありますし、月末に残高がある場合には、翌月繰越をすることになります。
また、金額の記入として貸方(右側)に買掛金の発生金額を記入して、借方(左側)に仕入の返品・値引金額及び買掛金の支払金額を記入することになりますので注意して下さい。
買掛金の内訳明細ですから、仕入帳の借方・貸方に記入するのとは反対になります。
ここで、商品を1 万円で掛仕入した場合の仕訳は、次のようになります。

 

(借方)仕入  10,000円       (貸方)買掛金  10,000円

 

このように、仕入の発生は借方(左側)、買掛金の発生は貸方(右側)になります。なお、帳簿によっては、得意先元帳と同じように記入するものもあるようですが、ここでは仕訳と同じような形式のものを前提として説明しています。
仕入先元帳に記入する内容は次の通りです。該当する仕入先のページに記入します。
商品等を掛仕入した日付
掛仕入した商品等の金額(仕入は「貸方」に、返品・回収等は「借方」に記入します)
掛仕入金額の残高

(2)仕入先元帳の活用方法

仕入先元帳は、仕入先ごとの残高を確認することができますし、支払った仕入金額欄に「済」マークを記載する「消込作業」を行うことにより、買掛金として残っている内容が把握できます。