4-5 原価計算

原価方法

原価計算は、目的により「実際原価計算」「標準原価計算」「直接原価計算」の3 つの方法に分類されます。

(1)実際原価計算

実際原価計算は、実際に消費した費用を元に原価を計算する方法です。この実際原価計算は、その計算方法の違いによりさらに2 つに分類されます。
①総合原価計算
総合原価計算とは、一定期間に発生した製造原価の合計をその期間に生産した数量で除して、原価を求める方法です。
この方法は、大量生産する通常の製造業で採用されている原価方法です。この総合原価計算は、さらにその計算方法がわかれます。その主な計算方法の内容は、次のとおりです。

1-4-5_ページ_3

 

1. 単純総合原価計算
単純総合原価計算とは、1 種類の製品を生産するためにかかった原価の合計を生産数量で除して製品原価を計算する方法です。
この単純総合原価計算とは、1 種類の製品を大量生産する場合に採用される方法です。
2. 等級別総合原価計算
等級別総合原価計算とは、等価係数(各等級別製品への原価配分比率)を用いて等級別製品の原価を計算する方法です。
等級別製品とは、同一材料・同一工程で製造する製品で、サイズ・等級・型等が異なる同種製品のことをいいます。
等級別総合原価計算は、同一種類のものを等級別に数種類製造する場合に適した原価計算方法です。
3. 組別総合原価計算
組別総合原価計算とは、種類の異なる製品 ごとに原価計算する方法です。
この方法は、種類の異なる製品を組別に連続生産する場合に適した原価計算方法です。
②個別原価計算
個別原価計算とは、生産するものごとに原価を集計する方法です。この個別原価計算は、受注等による「製造指図書」に基づいて製造する製品ごとに原価を計算します。この方法は、受注生産等をする造船業・機械製造業や建設業等で採用されています。

 

(2)標準原価計算

標準原価計算とは、原価標準(製品1 個を製造するために必要な原価)に生産数量を乗じて標準原価を計算する方法です。
この標準原価計算は、原価管理を行うのに適した原価計算で、多くの会社で製品の原価管理・予算化等の目的で採用されています。
また、この標準原価と実際原価との差額は、「原価差異」といい、この原価差異の原因を解明することによりコストダウンや予算管理等の資料として役立てます。

1-4-5_ページ_5

(3)直接原価計算

直接原価計算とは、原価を「変動費」と「固定費」に分類し、この変動費のみで原価計算する方法です。
変動費とは、製造 に応じて変動する原価です。この変動費には、材料費・外注費・残業代等があります。
固定費とは、製造 に関係なく変動せず、固定している原価です。この固定費には、減価償却費・保険料・賃借料等があります。
この計算で、売上高から変動費を控除した金額を「限界利益」といいます。この限界利益から固定費を控除して営業利益を計算します。このような損益計算書を「直接原価計算損益計算書」といいます。
また、直接原価計算による損益計算書で限界利益から固定費を控除した金額が「0」となる点を「損益分岐点」といいます。つまり、利益を増やすには、限界利益を増加させるかまたは固定費を削除する努力をすることになります。
このように、直接原価計算は、利益管理に役立つ計算方法です。
1-4-5_ページ_6