【令和7年の年末調整、ここが変わる】
2025年11月06日
~基礎控除・扶養控除・新制度まで、押さえておくべき改正点~
令和7年12月から年末調整が大きく変わります。基礎控除や給与所得控除の引上げ、新たな「特定親族特別控除」の創設など、制度の全体像を正しく理解しておくことが、経営者にとっても労務担当者にとっても重要です。本稿では、押さえるべきポイントと対応策を簡潔にまとめます。

1.基礎控除と給与所得控除がそれぞれ10万円引上げ
基礎控除は最大95万円、給与所得控除の最低保障額は65万円に改正されました。これは令和7年12月以降の年末調整から適用されます。特に給与収入しかない従業員には、控除額が自動的に反映されるため、源泉徴収簿や申告書での再確認が必要です。
2.所得金額要件の引上げと対応書類の確認
以下の控除で所得要件が10万円ずつ緩和されました。
・同一生計配偶者・扶養親族:48万 → 58万円
・勤労学生控除:75万 → 85万円
・ひとり親控除(子の所得):48万 → 58万円
これにより、前年は扶養控除の対象外だった方が、新たに対象となる可能性が生じるため、「扶養控除等申告書」の記載漏れには注意が必要です。
3.特定親族特別控除の創設と注意点
新たに創設された控除制度です。対象は、19歳以上23歳未満で合計所得金額が58万円超123万円以下の親族であり、所得要件により扶養控除の対象とならない者です。
・最大63万円まで控除可能
・特定親族特別控除申告書の作成が必要
・国外居住親族の場合は送金等の証明書類が必要
また、夫婦共働きで双方が同一の特定親族を控除対象としないよう、どちらか一方が申請する必要があります。
4.様式・源泉徴収票の変更点もチェック
年末調整に使用する各種様式も更新されます。とくに「源泉徴収票」には、新たに「特定親族特別控除額」や「特親」欄が設けられます。ソフトウェアの更新対応や記載内容の整備を年内に済ませておくことが肝要です。
5.実務上の対応ポイント
・見積額と実際の所得額が異なる場合、再年調や確定申告が必要になるケースあり
・異動が12月1日以降の改正に起因する場合、11月中でも異動申告は可能
・源泉徴収簿に特定親族特別控除の記載欄がないため、記載欄を自社で追加する等の工夫が必要
【まとめ】
今回の年末調整改正は、控除額の引上げと新設制度への対応が求められます。制度変更を正しく理解し、必要な書類・様式の確認と従業員への周知を早めに行いましょう。対応の遅れは、再調整や税務上のリスクにもつながります。早めの準備が肝心です。