思い描くことで道は開ける

2016年11月21日

私のような高校時代の劣等生は、どこか引け目を感じてしまうが、逆に組織とは関係なく生きていることについては「いいなあ、おまえは好きなことやって生きていて」と言われてしまう。 
今となればそんな言い方ができるのかもしれないが、自分の高校時代は実に暗く、決して楽しくはなかった。
 
今思えば、もっとまじめに授業を聞いておくべきだったと思うが、講義の大切さを感じたのは医学部に入ってからだった。
 
ややドロップアウト気味だった私は、高校時代の合唱コンクールや演劇コンクールといったクラス対抗のようなものには一切参加せず、放送部に所属して、自分で詩を書いて朗読していたのだから赤面ものであるが、それも今となれば、楽しい思い出である。
 
放送部の女性にも再会して「あなたの詩よかったわよねぇ」などと言われて、やっぱり俺は文学の才能があったのかなぁなどと悦に入っていた。
少なくとも、高校時代、まともに授業など聞かず、本ばかり読んで、同人会雑誌のようなものまで発行して、小説もどきまで書いていたのだから、かなりの暴走ぶりであった。
 
 
その母校から、今年「輝いている先輩たち」という感じで、同窓会雑誌や高校の入学案内のパンフレットにまで載せていただいた。
まさか私が後輩の手本になるとは想像もできなかった。自由にやらせてくれた母校に、今となっては感謝するばかりだ。
 
 
もはや夢を持つ年齢ではなくなってきたが、最近またちょっとした夢を持ち始めた。これが最後の夢、というか男の夢だと思っている。
思い描くことで道が開けることは体験してきたので、再び夢を描くことにした。夢がなくなれば、人生もおしまいなのだろう思っている。

 作家・医学博士 米山公啓 執筆者紹介

 作家・医学博士 米山公啓

1952年山梨県生まれ。作家・医学博士。専門は神経内科。1998年に聖マリアンナ医科大学内科助教授を退職。現在は週4日、東京都あきる野市にある米山医院で診療を続けるかわたら、実用書や医学ミステリーなどの執筆から、講演、テレビ・ラジオ出演など、幅広い活動を行っている。著作は280冊を超える。主な著作には「もの忘れを90%防ぐ法」(三笠書房)「脳が若返る30の方法」(中経出版)「健康という病」(集英社新書)など。趣味は客船で世界中の海をクルーズすること。

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