1-3.税金はこういうコトで安くなる

株の配当が入った

上場会社の株の配当金や株式投信の分配金を受け取ると、その時点で所得税が源泉徴収されています※。原則として確定申告は不要ですが、次の3パターンから有利な取扱いを選択できます。

 

(1)申告しない

源泉徴収されたままで、確定申告に含めない方法です。平成26年1月1日以降の配当所得の源泉税率は、復興特別所得税の源泉分を含め「20.315%」です。

 

(2)総合課税で申告する

配当金を「配当所得」として計算し、給与や他の所得と合計して総所得金額および税額を計算する方法です。この場合、源泉徴収された税金の一部のほか税額控除の一つである配当控除を受けることができる場合があります。

ただし、総合課税では他の所得の多寡によって実質的な税率が大きく異なり、有利になる場合もあれば、かえって税額が増えてしまう場合もあります。高所得者では一般に不利になるといえます。

 

(3)申告分離課税で申告する

確定申告はしますが、他の所得とは分けて税金を計算する方法です。税率だけをみると同率なので、申告しない場合と差がありません。しかし、株式や株式投信の売買で損失が出ている場合などでは、次項「株を売った」の説明にあるように、その損失分と相殺させる(損益通算する)ことができます。この場合、すでに源泉徴収された税金の一部を取り戻せる可能性があります(配当控除は受けられません)。総合課税ではかえって税額が増えてしまうような場合、この方法で申告する方が有利となる可能性が高いと言えます。

 

※上場会社以外の国内法人の株式等から配当金を受けた場合、1回の支払で受ける配当金が[10万円×(配当計算期間の月数/12)]の金額以下である場合には、確定申告は不要です。この金額を超えた場合は確定申告が必要となります。

 

株を売った

株などを売って得た利益は、原則として「譲渡所得」として確定申告をする必要があります。ただし、次のような場合があり、利益の有無やその額によって有利な選択が異なりますので、注意しましょう。

・年収2000万円以下の給与所得者で利益が20万円以下の場合、申告不要

・証券会社の口座が「源泉徴収ありの特定口座」の場合、申告不要

・非課税のNISA口座は申告不要

 

なお、株を売って損失が出たものがある場合は、他の株式や投資投信による利益や、上場会社の株の配当所得のプラス分と相殺させる(損益通算する)ことができます。損益通算しても損失となる場合は、譲渡損失として最長3年間赤字分を繰り越すことができます。いずれも確定申告が必須となります。