1-3.税金はこういうコトで安くなる

「結婚した」

結婚したことで、受けられる控除は2種類あります。一つは「配偶者控除」、もう一つは「配偶者特別控除」と言います。配偶者控除が受けられない場合でも、配偶者特別控除は受けられる場合があります。「配偶者控除」「配偶者特別控除」は平成30年分確定申告より改正がありますので、ご注意ください。

 

配偶者控除の対象となる配偶者

配偶者控除の条件は次のすべての条件に当てはまる人です。

 

・正式に「籍を入れた」配偶者であること。内縁関係の人は控除を受けられません。

・本人と生計を一にする(簡単に言うと「サイフが一緒」ということです)こと。

・配偶者控除を受けられるのは、年間の合計所得金額が48万円以下であること。結婚した配偶者の給与が103万円を超える場合は対象となりませんので注意してください。

・配偶者特別控除を受けられるのは、年間の合計所得金額が48万円を超え133万円以下であること。配偶者控除を受ける居住者の合計所得金額が1,000万円以下であること、つまり、結婚した配偶者の給与が103万円超~201万円以下であることが一つの条件になります。

 

※合計所得金額は給与の収入額とは違います。パートの収入だけの場合、所得金額プラス55万円で収入額を計算できます。配偶者に給与以外の収入がある場合は、それら他の収入も計算に入れなければならないことがありますので注意してください。

※納税者本人が個人事業主の場合、上配の条件のほかに配偶者が青色申告者の事業専従者として給与の支払を受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないことも必要になります。

 

→申告書の記入については、〔3-8.配偶者控除および配偶者特別控除控除の記入〕を参照

 

「子供が増えた・親の面倒を見た」

子供や年老いた親など扶養家族がいる場合には、一定の金額が所得から控除できます。これを「扶養控除」と言います。

 

対象となる扶養家族

扶養控除を受けるためには、次のすべての条件を満たす必要があります。

 

・配偶者以外の親族などであること。

(ここでいう親族とは6親等内の自分の親戚か、3親等内の配偶者の親戚を言います)

・納税者自身が生活資金を出していること。

・年間の合計所得金額が48万円以下であること。

 

 

※納税者が個人事業主の場合、扶養控除を受けるには、青色申告者の事業専従者として給与の支払を受けていないこと、及び、白色申告者の事業専従者でないことなどの条件があります。

※都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人を扶養している場合も扶養控除を受け取れます。

※子どもについては、平成23年分以降、16歳未満は対象外となりました。つまり、年末になって子どもが生まれても、扶養控除の対象となるわけではありません。ただし、年末に再婚して配偶者の連れ子を扶養するようになった場合、その子が所得がなく16歳以上であれば、扶養控除の対象となる場合があります。

※15歳以下の子どもについては、養育する者(親など)が「児童手当」を受けることができます(所得制限あり)。児童手当は、所得税確定申告とはまったく別に申請します。

 

→申告書の記入については、〔3-9.扶養控除の記入〕を参照

 

「自宅を建てた・購入した・増改築した」

住宅ローン等を利用して住宅を取得又は増改築などをした場合、その借入金の年末残高に応じて、所得税額から控除することができる場合があります。これを住宅借入金等特別控除と言います。この制度は「税額控除」であり、控除対象額が直接税額から差し引きされるので、減税効果の大きい制度と言えます。

 

対象となる借入金

条件を満たす住宅を取得又は増改築等をするために借り入れた住宅ローンなど。

ただし、対象となる借入金額は、最高で5000万円。

 

住宅借入金等特別控除の金額

住宅借入金等特別控除の金額は、住宅ローンなどを基礎に次のように計算されます。

 

(計算式)

 住宅借入金等特別控除の金額 = 住宅ローン等の年末借入残高 × 控除率

 

※「どのくらい控除できるか」や「何年控除できるか」は、実際に購入・建築・増改築した家に引っ越した年によって異なります。

 

床面積ってどこで判断する?

控除のための床面積の基準は、次のようになっています。

  • 床面積は、登記簿に表示されている床面積によります。
  • マンションなどのように建物の一部を所有(区分所有と言います)している住宅の場合は、その区分所有する区画の床面積をさします。
  • 店舗や事務所などと併用になっている住宅の場合は、店舗などの部分も含めた建物全体の床面積をさします。
  • 夫婦や親子などで共有する住宅の場合は、ほかの人の共有持分を含めた建物全体の床面積で判断します。

 

奥さんは控除をもらい忘れていませんか?

住宅ローンを購入した際、夫婦共同で借入をする場合があります。この場合、ご主人も奥さんも「債務者」になり、どちらも住宅ローンを借りていることになります。

この場合、控除の手続きはどうしたらよいでしょうか? 自宅の所有権をどうするかによって、手続きが違います。

・夫婦の連帯債務で、住宅も共有の場合

先述の条件に合えば奥さんも住宅借入金等特別控除が受けられます。ただし、控除対象となる住宅ローンは夫婦で住宅の共有部分に応じた割合の部分のみです。たとえば、住宅の持分が夫婦で2分の1ずつだった場合、奥さんもご主人も住宅ローンの半分についてそれぞれ控除対象となります。

・夫婦の連帯債務だが、住宅の所有権はご主人が持っている場合

住宅の所有権が無い状態で債務を負うことはレアケースですが、この場合、奥さんは住宅借入金等特別控除は受けられません。

 

控除を受けるときの注意

  • サラリーマンの場合、最初にこの控除を受ける年は、必ず確定申告が必要です。2年目以降は年末調整で行います。
  • 控除を受ける者の合計所得金額が3,000万円以下であることが必要です。
  • ほかに住宅の買い替えなどに関する所得税の特例を受けていると控除が受けられない場合があります。

主な併用できない特例としては以下のようなものがあります。

◇マイホームを売ったときの軽減税率の特例

自分が住んでいたマイホームを売った際、一定の条件に当てはめるときは、長期譲渡所得の税額を低い税率で計算する軽減税率の特例を受けることができる特例です。

 

◇マイホームを売ったときの3000万円の特別控除の特例

自分が住んでいたマイホームを売った際、2年前までにこの規定を適用したことがないことなど、一定の条件に当てはまるときは、その譲渡所得から3,000万円を控除できる特例です。

 
また、控除が受けられる特例として以下のようなものもあります。

◆マイホームを買い換えて譲渡損が生じた場合の特例

自分が住んでいたマイホームを売り、その売った年の前後1年以内に新しいマイホームを取得(見込)した際、その売った年に生じた譲渡損失は3年繰り越して控除できる。この特例は、住宅借入金等特別控除と併用できます。

 

→申告書の記入については、〔4-4.住宅借入金等特別控除の記入〕を参照