2-4 手形

不渡手形

(1)不渡手形の意味
不渡手形とは、形式の不備や決済口座の資金不足等により受け取った手形が支払期日になっても支払がされなかった手形のことをいいます。不渡の原因によっては、不渡処分の対象とならないこともあります。不渡処分を6 ヶ月以内に2回うけると、銀行取引停止処分となり、2年間当座預金取引を行うことができません。
(2)不渡手形の原因及び処分
不渡手形も、その原因により処分の方法が異なっています。ここでいう「不渡処分」とは、不渡を6ヶ月以内に2回うけると、銀行取引停止処分を受ける対象をいいます。
この原因と処分を一覧にすると次のようになります。

① 0号不渡
次の原因で不渡となった場合には、不渡処分は受けません。
形式・裏書不備……………記載要件・裏書要件に不備のある手形
呈示期間経過後の呈示……支払期日を過ぎてしまった手形
期日未到来…………………期日が到来していない手形
該当店舗無…………………支払銀行名が誤っている手形
② 1号不渡
次の原因で不渡となった場合は不渡処分となり、6ヶ月以内に2回うけると、銀行取引停止処分となります。
資金不足……手形の額面金額より当座預金の残高が不足している場合
取引無………手形呈示時点で、当座預金取引がない場合等
③ 2号不渡
次の原因で不渡となった場合は、異議申立により不渡処分が猶予されます。
偽造・変造・詐取・紛失・盗難※……偽造・変造・詐取・紛失・盗難された手形
印鑑相違……捺印された印鑑が銀行届出印と異なっている手形
金額記載方法相違……金額欄が指定以外の方法で記入されている手形
          例えば、アラビア数字で記入されている手形
約定用紙相違……銀行交付の用紙以外の用紙を使用した手形
※偽造・変造・詐取・紛失・盗難された手形でも、善意の第三者に対しては、支払義務がありますので注意して下さい。
(3)不渡手形の回収方法
不渡手形もその原因により対処が異なりますが、上記1 号不渡に該当する場合にはその内容を確認し、その会社に支払を求めていくことになります。不渡が出たということは、その会社の経営状況がかなり悪い状況にあることになります。
場合によっては、商品在庫の回収等債権を保全する手続が必要となってきます。

(4)手形の遡及
裏書手形を受け取ってその手形が不渡となった場合には、裏書して譲渡した人に対して、その手形の額面金額を請求することができます。このことを「手形の遡及」といいます。このような場合、遡及を受けた人は、さらに前の人に請求することができす。このことを「再遡及」といいます。このように裏書手形が不渡となった場合に、譲渡した人は譲渡された人より請求されますし、割引手形が不渡となった場合には、割り引いた銀行から請求されることになります。

(5)資金不足の対処方法
支払手形の支払期日に資金が不足している場合にとりうる方法としては、手形の受取先に依頼して、支払期日を遅らせた新しい手形と引き換えに手形を回収するといった方法が考えられますが、受取先が同意してくれなければこの方法はとれません。支払手形が不渡になることは即倒産につながりますから、手形の決済資金については万全の準備をしておくようにすべきです。